本当の音楽家とは?当選していない政治家は政治家じゃ無い?
レコードの発明以前、音楽は人々の生活のなかで演奏され、楽しまれてきました。
レコードが発明されて以降、音楽はプロの有名ミュージシャン様に独占されていました。
90年代のインディーズブームから2000年代のネットの普及により、音楽におけるプロとアマの壁がなくなりました。
音楽コンテンツは、プロの有名ミュージシャン様から一般人にトップダウンで提供されるものではなくなりました。
いまでは、soundcloudやニコニコ動画で、沢山の人々が楽曲を発表し、色々な方法で音楽を楽しんでいます。
音楽が売れなくなった、と言われていますが、音楽カルチャーは確実に進化していると思います。
そして、それはプロの有名ミュージシャン様ではなく、人々の手によって起こっています。
「本当の音楽みたい!」
その記事の筆者はDTMをやっていて、それを動画サイトにアップしたら、「本当の音楽みたい!」というコメントがついたことから話が始まります。
コメントをした人が言いたかったことは、正確に言えば「実際にCDでリリースされているプロの楽曲のようだ」ということでしょう。
でも、プロだから本当、アマチュアだから偽り、ということではありません。
プロが音源をリリースして商売にする、というのは音楽の1つの側面に過ぎません。
たしかに20世紀後半は、その側面が音楽のあり方の多くを占めていたかもしれませんが、今は決してそうとは言えない状況です。
それでも、多くの人々が、無意識に「本当の音楽みたい!」と言ってしまいます。
もちろん、音楽に限った話ではありません。
「本当の映画みたい!」
「本当のマンガみたい!」
「本当のサッカー選手みたい!」
いずれも本当も偽りも無いのですが、無意識にそう言ってしまうことがないでしょうか。
音楽カルチャーに精通し、多様な音楽のあり方を理解できていて、「本当の音楽」という言葉に違和感を持つ人でさえ、
アマチュアサッカーの大会でプレイの上手い人をみたら、「本当のサッカー選手みたい!」と言ってしまうのではないでしょうか。
サッカーをする人は誰でも「サッカー選手」であるはずなのですが。。。
漫画家は連載作家限定のことではなく、マンガを書く人のことです。
サッカー選手とはプロ選手限定のことではなく、サッカーをする人のことです。
ミュージシャンとはメジャー契約アーティスト限定のことではなく、音楽をする人のことです。
文化の中心は、テレビの中の限られた人々では無く、私たちひとりひとりです。
※音楽ビジネスの中心はプロミュージシャン、サッカービジネスの中心はプロサッカー選手、になると思います。
もちろんそれも消費者あってのビジネスですが。
「当選していないから政治家じゃ無い」?
日本人は日常的に政治と関わる機会が、とても多いとは言えません。
食事の席での政治の話は、NGとされることがほとんどです。
選挙の際に、「○○さんは素晴らしいから投票しようね!投票してね!」とイチオシの候補者を友人知人にオススメすることは特殊なことではありませんし、非常に民主的なアクションの1つだと思うのですが、何故かここ日本ではそういう活動は公明党支持者しかやっていません。
また、実際にそういうことをする人は、面倒な人だな、と思われることが多いです。
「政治家」を辞書でひくと、「政治を職業とし、専門的にこれに携わる人。」とあります。
つまり、政治家とは議員のことではなく、政治を職業とする人のこと全般を指すことになります。
民主主義国家の日本では、色々な方法で政治アクションを起こすことが出来ます。
議員にならなくても、政治アクションを起こすことは、十分可能です。
例えば、デモやパレード、集会、様々な方法でアクションを起こすことが出来ます
もちろん、音楽やアート活動で政治に働きかけることも出来ます。
政治アクションを起こす人は、「活動家」「プロ市民」と呼ばれることが多いです。
でも、本当に世の中を変えたいと思うのなら、そこから脱皮し外野扱いされないためにも、「政治家」を自称してもいいと思いますし、また、周囲の人々も「政治家」として扱ってもいいのではないでしょうか。
「議員で無ければ政治家で無い」という考えは「プロでなければミュージシャンで無い」というのと同じくらい、一面的ではないでしょうか。
※蛇足ですが、「議員で無ければ政治家で無い」という考え方をもっと極端にすると、「与党でなければ政治家で無い」になるかもしれませんね。
多様性が増すことで、関心を抱く人々が増えるはず
政治の話題のタブー視、マスコミからのネガティブな報道、議員さんたちのよく分からない政策。
政治と距離を置きたくなる環境が整っているのが、今の日本です。
でも、政治と私たちの生活を切り離すことは出来ませんし、実際に切っても切れない関係にあります。
民主主義の主役は「議員」ではなく、私たちひとりひとりです。
「参政権」という言葉がありますが、投票だけが政治ではないはずです。
デモやパレード、集会に参加することも、政治に参加する手段のひとつです。
是非、多くの人々が、自分の興味のある分野で政治と関わっていける社会になって欲しいと思います。